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メイキングっぽい覚え書き

自分はArtRageを使用して絵を描いてますが、いつもと違う描き方をしてみたので記事にしてみました。

ソフトが特殊すぎてなんの参考にもならなそうですけど。何気に長い記事になってしまいました。

準備

 まず適当な用紙を開く。

なぜ「開く」から始まるかというと、ArtRageは用紙設定の項目が不便なので…

自分の場合は、良く使用するサイズをあらかじめB5縦 150dpi, B5横 150dpi, A5横 300dpiといった名前をつけたファイルを用意しておいて、それを複製することからはじめます。

用紙設定自体はArtRage自体でも保存可能ですが、ファイルにしておくことで任意の初期状態をすぐに用意出来ます。(自分の場合はマンガ原稿用紙を想定したレイヤーを追加しています。)

今回は「 」というハッシュタグを元にサンぽんさんのツイート画像を参考にしました。

線画作成

 描き始め。

おおまかなポーズをキャンバスの適当な位置に描きはじめます。

これは下描きよりも前に行う作業なのですが、大体のポーズ、顔の向き、腕や足の長さのあたりをつけます。この絵をガイドに下描きをします。

自分はこの工程ではかなり小さく(感覚的には名刺、大きくてもハガキぐらい)描きます。

小さく描くと、

  • 何をするにも処理が軽くなる。
  • 保存も速い。
  • 描線補正機能が強く作用する。
  • そもそも解像度が低いため、下描きなのにうっかり描き込んでしまったりがない。
  • 適当に描いてもそれっぽく見える。(←これは良くない…)

といった利点があります。

  下描き。

大体のポーズが決まったら、目的のサイズに拡大して描いていきます。

この時、線画を切り貼りして再構成する時もあります。(上の例は極端ですが)

今回描いているものが元画像と違うポーズになってしまったのは、そのままだと胸部がほとんど隠れてしまうためだったりして。

切り貼りをすれば当然ながら線がガタガタになったりぼやけてしまいますので、必要に応じて線を描画しなおします。

 線画作成中。

下描きが完成したら、それを元に線を引いていきます。

描画順は大体、顔・体・腕・足で行っています。

自分の場合、パーツだけに注目して描いているとすぐに全体のバランスがおかしくなってしまうため、全体表示を見ながら描いてます。

参照画像について

ArtRageの参照画像は確認するだけでなく、実際に書き込む事が出来たりします。

使用頻度はそこまで高くないのですが、ガイドとしてちょっと点を打ったりする時に便利かも。

描く箇所によっては

  • 全体縮小
  • 描いている部分の拡大図
  • 実際に線を引いているキャンバス(これは任意に拡大縮小回転)

といった感じで複数の参照を用意する事もあります。

 線画完成。

いつもはこれで線画作業を終えて、色を塗り始めます。

(マンガの時には、綺麗な二値画像を得るために、線画をレイヤーを重ねた画像を出力したものをpotraceで変換する事もあります。)

 アンチエイリアス無しでペン入れ。

今回はさらにひと手間。

いつもの線画状態のままでは線に力強さが感じられないため、インクペンツールのアンチエイリアスをOFFにして擬似的な強弱をつけました。

彩色

 色を配置。

彩色は基本的に水彩ツールのみを使用しています。

以下の設定にして色を塗っていきます。

  • リアル混色モードON
  • テクスチャを水彩画用紙に設定
  • ウェットブラシOFF
  • インスタントドライOFF
  • オートクリーンON

個々のパーツ毎に色を水分多め(ArtRageではシンナー値高め)で塗っていきます。

 ウェットブラシOFFで

均一な色で塗りたい場合はウェットブラシONの方が綺麗に塗れるのですが、自分は必ずOFFで塗っています。

好みの問題ではありますが、ウエットブラシOFFの状態でシンナー値を高めで塗ると、ペンタッチに色むらを発生させる事が出来ます。この機能を使用して、塗っている箇所の端が少し濃い目になるように塗ります。(上のキャプチャーだと判りづらいかも…)

ただ、アニメっぽい塗り分けをしたい場合は、汚らしく見えてしまうかもしれません。

水彩技法について

 水彩ツールの表現例。

上段)自分が使用するのはこの三つだけ(絵柄に合わないので…)です。

中段)ドライブラシを有効にすると、ガサガサッとした表現を行えます。

下段)ウェットブラシOFFの場合でも、インスタントドライがOFFであれば、同じレイヤー同士の色は混ざり合います。

この機能を使用して、

  • 滲ませたい場所に水(シンナー値高めの白)を塗っておく。
  • 別の色で描いて水彩領域同士を滲ませる。

といった技法が使えます。

 陰影用のレイヤーに影を彩色。

大体の色が塗り終わったら影色を塗っていきます。

ところどころぼかしたような表現を行っていますが、これは水彩機能の滲みではなく、パレットナイフツールのスクラッチによる表現です。

パレットナイフは油彩で使用するものに感じられますが、ArtRageでは描いたものを「擦る」ためのツールとして使用できます。ペンシルツールで引いた線をぼかしたりも出来ます。

パレットナイフによるぼかし

 色を塗る。

これは単に薄い色で塗っているだけです。

 別のレイヤーに影色で塗る。

別のレイヤーにすることで混色せず、削除する事でやり直しが可能です。

こちらもウェットブラシをOFFで塗るので、基本的にエッジが立った状態になります。

 パレットナイフでエッジをぼかします。

まわりに馴染ませる感じで擦りつけていきます。

パレットナイフを使う時はサイズを大きくして弱めにかける方が綺麗に馴染ませる事が出来ます。Version 4.5の時点で5種類ありますが、自分は一番右側のものを利用しています。

擦る際は向きに注意が必要です。特に二色以上の領域で行う場合、意図しない混色がされます。(油彩ツールの使用時に表現として行うなら問題ありません)

影色を別レイヤーにして作業すると、変化が二種類(色を伸ばすか透明度を上げるか)だけになるため、コントロールしやすくなります。

それと、影色のレイヤーをどう重ねるかで鮮やかさを変えることが出来ます。(擦るレイヤーを手前に持ってくる方が鮮やかな色合いになります)

この方法の欠点は結果オーライのため、技法が水彩らしくもなんともない事です。

利点は別のレイヤーで作業するので、後から削除しやすい点です。

濃い色だけでこれをやるとガウスぼかしをかけた様になり、非常にウソくさくなります。そのため最初に薄い色を塗る事で階調の変化量を落として馴染ませてます…ってそもそもCGの時点でウソ水彩なんですけどね。

 

 だいたい完成。

最後に全体を見ながら影色を追加したりします。

瞳の部分はペンシルツールで描画しています。

 一番上にホワイト。

最後は一番上にレイヤーを追加してホワイトで描画。

完成画像

色が薄い状態で完成するため、別のツール(Pixelmator)上で加工を行っています。

色調補正をしているわけでは無く、濃くしたい水彩レイヤーを複製して透明度を操作しています。

おまけ

 エフェクト部分。

拳の部分はFumyというソフトウェアで描いたエフェクトを合成し、発光している感じをライトリークにより表現しました。