第12話「さよならは言わないで」

武装神姫が最終回を迎えました。

最終話は先週から引き続いてヒナの話だったのですが、全話通してもヒナの物語だったんじゃないかと思えました。

放送開始時点でのヒナは「マスターと神姫」という関係のみに価値を見いだしていた、というよりも、自分なりの「(武装)神姫という定義」に忠実であろうとしていたように思えます。名前の通りヒナ[1. 神姫的には初期設定状態]だったわけです。

そして理人や他の神姫と触れ合ううちに少しづつ考え方を変えていき、最終的に仲間というのを意識出来る様になった。[2. アン達は最初からヒナを仲間だと思っているけど、ヒナ自身には実感がなかった(と思う)。] …と、考え過ぎかもしれませんが、そんな物語だったと自分は受け取りました。

記憶がもどったヒナについて

劇中後半、記憶を消去されたヒナの記憶が蘇っていました。その理由は「モニター用の神姫だったからか?」とだけ触れられていて、具体的な事は何も言及されていませんでした。

もっとも、感動的な場面で技術的な解説とかされてもしらけるだけでしょう。それはそれで構わないのですが、個人的には気になりましたのでちょっと考えてみる事にしました。

神姫の記憶について

神姫をロボットとして考えると、その記憶は何らかの記録媒体に納められているのだろう程度には推測出来ます。

例えばHDDやフラッシュメモリの場合、データの消去というのは実際に消去するわけではなく、管理上消えている様に見えるだけです。なので、物理的に読み取る方法(セクター単位での読み込み等)があれば、消したはずのデータを読み込む事が出来る場合もあります。(実際にサルベージ業者やデータ復元ソフトウェアが存在しています。)

だから、実際にヒナの記憶は消えていませんでした。

…と考えたいところなのですが、

データ復元ソフトウェアを悪用すれば、捨てられたHDDから情報を抜き出す事が出来てしまいます。ですので、データを消去するには単に削除した事にするのではなく、別のデータを書き込んでやります。

自分が愛用している BlackBerry を例に挙げると、第三者がデータを物理的な方法で読み取れない様な仕組みが実装されています。動作的には以下の感じです。

コンテンツ保護がオンになっているときに、BlackBerry デバイスで BlackBerry® デバイスの RAM にあるヒープを上書きするために、BlackBerry デバイスでは各ビットの状態を 4 回変更します。BlackBerry デバイスのメモリスクラブプロセスでは次の処理が実行されます。

  1. 各バイトに 0x33 を書き込む(0011 00112)
  2. すべてのバイトを消去して 0x00 にする(0000 00002)
  3. 各バイトに 0xCC を書き込む(1100 11002)
  4. すべてのバイトを消去して 0x00 にする(0000 00002)
  5. 各バイトに 0x55 を書き込む(0101 01012)
  6. すべてのバイトを消去して 0x00 にする(0000 00002)
  7. 各バイトに 0xAA を書き込む(1010 10102)

といった感じで、念入りに上書きされてしまうと手も足も出ません。そこまで念入りにしてないかもしれませんが、何らかの上書きが行われてしまうだけでデータのサルベージはより困難になります。

そもそも現行技術の延長線上に神姫があるわけじゃないかもしれませんけど…

実は設定を上書きしているだけだったりして

と、長い前振りをしたわりにはしょんぼりした仮説ですけど、自分はそう考えました。

結局のところあそこでいう消去というのは、実際には設定の強制上書き、人間的に言えば催眠状態だったのではないでしょうか。数少ない神姫の設定では、 C.S.C を埋め込む事で神姫が生まれ、以後は取り外す事は不可能(外す=神姫の死)ということになっています。

アニメでは C.S.C に関する設定は登場しませんでしたが、単純に記憶を削除してしまうわけにはいかない何かがあるのかもしれません。(というか、そうであってほしい…)

そういった前提を踏まえると、記憶の削除というのは神姫を破壊してしまう事になるため、削除というのは便宜上の意味だけで、実際にはヒナに催眠術をかけていただけだったのではないかと思います。そして記憶が戻ったというのは催眠が解けた状態だったという事だったのではないでしょうか。

…とまぁ、自分なりの落としどころはこんな感じです。

(武装神姫でもなんでもない話になってしまいました。)